一発屋芸人のその後を描いたような小説。
都会を歩けばどこでも見知らぬ他人からひそひそ「終わった」と囁かれる。
深い絶望から不眠症になった戸越は、ひょんなことからとあるホームレスの実家に居候し、憎きディレクターへ復讐の時を告げる伝書鳩を待つこととなった。
しかしたどり着いた家では、すでに勝手に暮らしている不思議な女シズミがいて……。
戸越が「自分は絶望しているのだ」という事実に固執している姿が哀れで愛おしかった。庄司唯生として生活を始めることになり、田舎の人間にも歓迎され馴染みだしてしまっても、シズミに指をにぎられ安らかな眠りの波がこようとも、それに自ら抗っていくスタイル。これはだいぶこじらせている。
又吉直樹「劇場」や「火花」と通じるものを感じた。ままならない人間の深淵をみせられているよう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年10月20日
- 読了日 : 2019年10月20日
- 本棚登録日 : 2019年10月20日
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