読んだことあるような気がするけどまだ読んだことなかった一冊。
いわゆる未映子節って言うんだろうか、これが多分私は嫌いだったんだけど、でも今は休校中の娘たちがどれだけ部屋で騒いでいようが一瞬で没入してしまえるほどには好きだ。人間って変わるものだなぁ。
とにかく面白かった。2003年〜2006年のブログ。詩も小説もまだ書いたことのない、音楽活動をしていた頃の未映子さんが書いていた誰もたどり着けないようなブログの文章。ちょうど今の私と同年代だ。
大好きな夏物語に通ずる思考がたくさん散りばめられているのが嬉しい。
大阪のDV家庭で育って貧乏で、生まれてきたことを後ろめたく思うかつての未映子さんは不治の癇癪持ちではあるけれど、東京で29歳になった。それは生まれてきた自分と生む自分のはざまの。
未映子さんはそのあと何年かして作家になって結婚して出産して、夏物語を書いている。
このブログを綴っていた過去の未映子さんが知らなかった未来を、でも今ブログを(本だけれど)読んだ私は知っていることの不思議について、一生考えていられそう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2020年5月6日
- 読了日 : 2020年5月6日
- 本棚登録日 : 2020年5月6日
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