短歌の友人

著者 :
  • 河出書房新社 (2007年12月1日発売)
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本棚登録 : 253
感想 : 36
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知人にすすめられて。
ちょうど百人一首を覚えてて短歌に興味を持ち始めたところだったので、五七五七七のなんたるかが学べて楽しく読めました。穂村弘さんもずっとお名前はよく見かける方だったので。

短歌の言葉に求められるのは、何度でも繰り返し可能な世界ではない。
我々が現に呼吸しているこの世界の感触が、生々しく再現されている、ことが大切。

我々の言葉が<リアル>であるための第一義的な条件としては、「生き延びる」ことを忘れて「生きる」という絶対的な矛盾を引き受けることが要求されるはずである。

「ダシャン」と「ガシャン」の間にあるものは、発音や字面の上では微差にすぎない。だが、その中に詩的には大きな質の違いがあって、多くの読者はそれを自然に感知することができる。
→生命の一回生、ただ一度きりの人生の中で、ある日、ある時、団地の扉が閉まる。その事態のかけがえのなさを「ダシャン」は「ガシャン」よりも深く捉えて表現している。

俵万智さんの短歌→平凡さの「ありがたさ」が詠われている。そこに「普通の人達」が爆発的に共感したわけだが、彼らが皆このような歌を書けるわけではない。ハートの庶民性濃度が通常の十倍(推定)なければ、このような歌をかたちにすることはできない。普通さにまみれながら、同時にそこを突き抜ける過剰さが必要なのだ。

俵万智さんの短歌ってすごい!と、なんだか今更ながら改めてハッとした。歌集でちゃんとまとめて読んでみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 短歌
感想投稿日 : 2019年5月29日
読了日 : 2019年5月28日
本棚登録日 : 2019年5月28日

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