「働くこと」を問い直す (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2014年11月21日発売)
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本棚登録 : 151
感想 : 14
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社会人になって数年経って、「何のために働くのか?」というストレートな質問に答えにくくなっている自分がいた。面接で会う学生さん、将来の子供に胸を張って話せるか…と思っていたときにタイトルに惹かれた。
結論から言えば、冒頭の問いに明確な回答をくれる本ではなかった。『論語と算盤』を読んだ方が納得感あると思う。
本書は労使関係、特に労働組合の変遷を辿ることで、過去には感じやすかった(ように思える)働くことの意義が、近現代の技術革新に伴って失われていったことに始まる。歴史の勉強という意味では学ぶことは多いと思う。
近頃、日本でも欧米のようなジョブ型雇用を導入すべきと叫ばれて久しいが、そもそも雇用形態がなぜ違っているのか?とか、日本企業が世界を席巻した時代の強さ等の歴史は読んでいて面白い。
後書きに「頑張るしかない、という結論にはしたくない」とあるが、そういう結論になっている感は否めない…。編集者から「結局どうしたらいいの?」と聞かれたともあったが、本当にそうだったのだろうなぁと、作者の苦悩も感じた。結論を出すのが難しいというか、結局は個人に委ねられる点が大きいからかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年1月15日
読了日 : 2022年1月15日
本棚登録日 : 2022年1月15日

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