日本宗教史 (岩波新書 新赤版 1003)

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  • 岩波書店 (2006年4月20日発売)
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丸山真男が言う歴史を貫く唯一の古層などない。層の重なりがあり埋もれている古層を宗教史を通じ検討する。
近代における過去の発見は近代に都合の良い古層を作り出す作業であった。古代最大の文献は記紀である。記紀神話は仏教と無関係ではなく影響がある。
神仏習合は最も深い古層である。集合にはいくつかの形態があるが、何も仏教側が土着的信仰を吸収する形である。
日本仏教思想の基礎は平安初期に最澄空海により確立された。9世紀後半から律令制が崩壊し荘園制へ移行した。宗教もまた国家的祭祀から私的祭祀へと性格を変えた。
死に関する儀式は仏教、現世利益は仏教・神祇信仰・陰陽道があわせ用いられた。
信仰を強めるため末法思想が広められた。鎌倉仏教は日本仏教の最盛期と見られている。煩雑な儀礼的要素を排し平等な救済を説いた。ありのままの現状を肯定する本覚思想が現れ、最も日本化した仏教思想と言われる。
本地垂迹とは遠くの仏より近い神の方が貴いとする説であり、山王信仰がある。
中世は偽書も多いが、合理主義の奥の古層レベルにおいて偽書も生きることがある。
近世では朱子学が正統とされたが、仏教神道思想が衰えたわけではなく、百家争鳴の状況だった。

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感想投稿日 : 2022年6月8日
読了日 : 2022年5月14日
本棚登録日 : 2022年5月14日

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