決められた仕事を単にこなしていくことを「さばく」といい、これをいくら繰り返しても根本的な解決にはならず、そこから学ぶこともない。
これは前提(枠組み)を無条件に受け入れることから思考がスタートしており、なにも考えずに受け入れたものをどう処理すればよいのかという問題に帰結する。
一方、「考える」とは、与えられた前提を当然のものとして安易に受け入れるのではなく、なぜこの前提があるのか、そもそもこの前提は正しいのかと疑問を持つことから始まる。
言い換えれえば、「考える」とは、頭の中でただ単に思いをめぐらすことではなく、意味や目的を常に意識し、身体を使って、事実に即して考えることで、(中略)正解を見つけ出すことよりも考えるプロセス(意味や目的の問い直しを根気よく継続していくこと)を重要する姿勢である、といえる。
以上が本書の主題であろうと思われる。
なんとなくいいことが随所に書かれてはいるが、全体のまとめとして何がいいたいのか、いまいちピンとこない点は残念。
また、本書は一部ストーリー仕立てになっており、それ自体は悪くないのだが、このような構成をとる場合、ストーリーで事実の説明をし、それを補足する形で本文が後からくると分かりやすいと思うが、ストーリーのなかでも抽象的な説明をしていたり、そもそもストーリー自体がブツ切れで、あまり連続性がないため、ストーリー仕立てにしたことで、却って分かりにくくなっている点も不満である。
読書状況:読み終わった
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人事
- 感想投稿日 : 2010年6月8日
- 読了日 : 2010年6月8日
- 本棚登録日 : 2010年6月8日
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