空き家急増の真実: 放置・倒壊・限界マンション化を防げ

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2012年6月1日発売)
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近年、空家が急増している事実を詳細かつ多大なデータで裏付け、その背景や具体的な対策を検証している。

まず、空家が急増している背景には、少子化による住宅需要の減少とそれにも関わらず新築住宅が供給され続けていることがあり(税制上の優遇措置がそれを助長している)、このミスマッチが空家を急増させている主因だとする。

そのうえで、この空家に対する対策として、いくつかのおもしろい提言をしている。

そのひとつは、空家の撤去についての検証である。
空家にも色々な形があるが、老朽化が著しく進行し、台風などにより近隣の家屋に物理的な損害を与えそうな空家などについて、自治体などが解体費用の助成を行っている事例があるという(足立区の空き家管理条例)。

本来、このような場合、条例等に基づき自治体等が強制的に空家を解体できれば良いが、現行の法律との関係でいえば、これは私権の侵害ともいえ、問題であるだけでなく、解体費用の負担の問題もあり、うまくいっていないのが実情のようである。

一方、海外では自治体が一定の手続きの後、強制的に空家を解体し、かつその費用を所有者に請求し、その支払いがない場合、その土地が自治体の所有になるという制度があるようである(米国オハイオ州のヤングスタウン市)。

これは非常に合理的なシステムだと思うので、日本でも導入を検討してはどうかと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 不動産
感想投稿日 : 2012年8月11日
読了日 : 2012年8月3日
本棚登録日 : 2012年8月11日

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コメント 2件

lacuoさんのコメント
2015/04/18

この問題は、日本も今すぐに具体的な対策をたてるべきですよね。ヤングスタウン市の制度は合理的。

1492さんのコメント
2015/04/20

コメントいただき、ありがとうございます。
日本(東京)でも足立区など空き家解消に向けた行政的な取り組みが始まっていますね。
また、先日『カンブリア宮殿』で東京R不動産という会社が「空き家は宝」と言われていましたが、このように空き家をビジネスにつなげようというポジティブな視点も必要と感じました。

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