清浄なる精神

著者 :
  • 信濃毎日新聞社 (2009年10月1日発売)
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感想 : 2
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内山の哲学の核心には、「反近代」がある。近代の本質は何か、近代において人は何を失ってしまったか、を繰り返し問い続ける。
内山の姿勢が素晴らしいのは、西洋文明に席捲されることで迎えたこの現代の危機を、ナショナリズムに陥らずに乗り越えようとするところだ。近代以前の人々の暮らしの中に豊かさを見出すことで回復のヒントを探りながら、「日本」という国家に傾くのではなく、我々が日々暮らす土地の風土へと立ち返ろうとする。
最もラディカルな思考が、最も保守的なものでもありうるという、稀有な哲学がここにある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年11月30日
読了日 : 2023年11月30日
本棚登録日 : 2023年11月21日

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