南総里見八犬伝 8 (岩波文庫 黄 224-8)

  • 岩波書店 (1990年7月16日発売)
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感想 : 3
4

用事がすんだのに帰国が許されない、親兵衛。
仲間とも離され、一人管領の家に軟禁される。
前巻で八犬士達と戦って敗れた結城家菩提寺の住持徳用が実は管領・細河政元の乳兄弟ということで、親兵衛の悪口を散々ふきこまれるのだけれど、頭の回転が早く見目麗しい親兵衛を気に入った政元は「将軍命令」と嘘をついて自宅に留め置いている。

親兵衛の力を知りたい政元は、手練れの部下たちを相手に親兵衛に5番勝負をさせる。
全ての勝負で難なく勝ちを得た親兵衛をますます手放したくないと思う政元。
なんなら夜伽の相手もさせたいな、と。(!)
まさかのBL展開!
いや、当時は割と普通の…流行りのことであったそうですよ。
見た目は17歳だが本当は9歳の親兵衛の貞操は如何に!

そんなこととはとんと気づかぬ初心な親兵衛は、「早く国に帰りてーなー」なんて思っているわけだけど、将軍命令だからしょうがない。
一人だけ違う宿に泊まっている直塚紀二六(ひたつかきじろく)が餅屋に化けて政元の家に入り込み、連絡を取り合っているが、基本退屈なのである。

話は変わって、虎の話。
怠け者で心根の悪い絵描きのところに持ち込まれた虎の絵。目玉は描いていない。
目を入れると虎が絵から抜け出るからだと言われている。(どこかで聞いた話だ)
絵にまつわる凄惨かつ不可思議な殺人事件はさておき、金に困った絵描きによってその絵が政元のところへ持ち込まれる。

「目がなければ不完全だ。目を入れろ」と政元に言われ、絵描きが虎に目を描き入れたとき、虎が絵の中から飛び出してくる。
虎をつかまえようと飛び出してくる人たちを次々と蹴散らし食い破り、虎は姿を消す。
が、恐怖に駆られた京の人たちは政元に虎退治を要求する。(政元のせいだからね)

手練れの部下を差し向けようにも、なかなか打って出ない部下たち。
そして仲間割れ。
さらには手下どもの謀反。

そんなこんなで親兵衛が虎退治に。
親兵衛の条件は「虎を倒したら国に帰してくれ」
しぶしぶ了承した政元。
1ページもかけずに虎を退治した親兵衛は、さっさと京を後にするのであった。
いや、その後も関所でひと悶着とかあったけど。

さてその頃里見家では、なかなか帰ってこない親兵衛を心配して、将軍と管領にもう一度みやげ物を渡してついでに親兵衛を連れ帰っちまおうかなどと、殿さま自らそんなことを考えたりもするけれど、犬士達になだめられ、とりあえずいざという時戦える百姓を作るために軍事訓練などを大々的に行っていたのである。

そして、いいタイミングで里見家と八犬士達に恨みを抱いている扇谷関東管領が、周囲の国主たちに声をかけて手を組み、打倒里見ののろしを上げる。
それを阻止するために動き出したのが、軍師犬坂毛野だ。

後の物語いかにぞや。そは下の回りに、解き分くるを聴きねかし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年9月23日
読了日 : 2016年9月23日
本棚登録日 : 2016年9月23日

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