隼小僧異聞 物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年6月15日発売)
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目次
・落ちた玉いくつウ
・沢瀉文様(おもだかもんよう)べっ甲蒔絵櫛(まきえぐし)
・紋蔵の初手柄
・罪作り
・積善の家
・隼小僧異聞
・島帰り
・女心と秋の空

5人の子供のうち、一人は嫁に行き、一人は婿養子に行ったため、少し寂しくなった紋蔵家。←展開早っ

時と場所を問わず寝てしまう奇病のせいで出世もままならない紋蔵だが、今回はいくつかのお手柄が続き、いよいよ出世コースに乗るかと思われたが。
何も考えずに法律に照らして処置すれば問題はない。
けれどそれは、誰かを幸せにするだろうか?
悪人だけが得をしていないだろうか?

こういうことを考えて、悲しい事件の被害者のような犯人を見逃したりするから紋蔵は出世できない。
こういう人情的解決は割と時代小説には多いけど。

好きなのは「積善の家」。
”思えば、役所に勤めはじめてからの三十年。一つとして碌なことがなかった。捨吉はつきというが、なに積善の家の余慶が、まとめて訪れてきただけなのだ。けっしてつきなどではない。
 なにか開き直るような気持ちで、紋蔵はそう考えた。”

誰に評価されるわけではなくても、実直に仕事を続けてきた。
つまり、そういうことだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年10月24日
読了日 : 2018年10月24日
本棚登録日 : 2018年10月24日

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