目次
・奉行所付き中間 為吉
・下手人 磯松
・見習い同心 一之瀬春蔵
・与力の妻 村井あさ
・岡っ引き 田蔵
・下っ引き 為吉
「北町奉行所ものがたり」となっているが、奉行所が舞台というわけではない。
「為吉」というタイトルだが、全ての話に出ているわけではない。
北町奉行所という組織の下っ端で働く人たちが、ゆる~く繋がった連作短編。
しかし、あまり人と打ち解けて付き合わなかった為吉が、最後の方では恋もして、家族も出来て、人として成長しているところがいいですなあ。
起きた事件はそれぞれ、普段は隠していた心の闇がなさしめた、後味の悪いもの。
そんな中、「見習い同心 一之瀬春蔵」は、普段から同僚の弱みを探し回っているような嫌な奴の代表格、臨時廻り同心の神谷舎人の心のうちがとてもよかった。
江戸の町を守るものであるという矜持。
人を見る目は厳しくも温かい。
「与力の妻 村井あさ」も、しみじみよかったなあ。
男女の愛と夫婦の情。
家族といえども、自分が気づかぬ面を持っているということ。
「下手人 磯松」は切なかった。
磯松には、悪い心というのはなかったのに。
うっすらと笑みを浮かべて刑に服した磯松の人生は、幸せだったのだろうか。
最後に笑えたから、幸せといってもいいのだろうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年6月13日
- 読了日 : 2017年6月13日
- 本棚登録日 : 2017年6月13日
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