家事は大変って気づきましたか?

著者 :
  • 亜紀書房 (2022年9月29日発売)
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本棚登録 : 428
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カジュアルなタイトルと見た目に反して、イラストの一切ない文字だけの300ページ超の大作。

内容は家事のノウハウやコツを伝えるような、よくある家事本では全くない。
むしろ「家事の社会学」というようなタイトルの方が適切じゃないかと思える。
家事の歴史的、社会的、政治的背景を紐解きながら、家事の偏在する大きな負担の理由を説明し、そのよりよい在り方を検討している。

対象読者は、日々家事に追われている人、その中でも家族があり、ケア(育児や介護)も家事の一つである方と想定している。現在の日本では大多数が女性でしょう。

女性が会社や社会などの公的エリアから家庭に追いやられ、家事を1人で抱えこまされ、男性が家事に関与しないのはなぜか。それはそれぞれの個人的な要因というよりは、家事がそういうものだとしてきた親、会社、社会、制度の関与がある。それぞれが長い時間の中で複雑に絡み合っているので根が深い。

具体的に家事負担の軽減として目指す方向は、家事の総量を減らすことと、それをほかの家族とシェアすることだ。シンプルだが重要であり、その具体例もまとまってはいないがいくつも紹介されている。制度や考え方も徐々によい方向に変化してきており、これからもきっと変わっていけるだろうという著者の姿勢も嬉しい。

女性が日々家事に苦しめられ、悩んでいることに対して、労いたい、共感したい、肩の荷をおろしてあげたい、助けたい、と思う著者の温かいケアの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる本である。

そんな大変な思いをしている女性はもちろん、家事の大変さに気づいていない男性(夫、会社の管理職の方、官僚、政治家)の皆さんも、読んで頂きたい本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月5日
読了日 : 2023年2月5日
本棚登録日 : 2023年2月4日

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