「たとへば君」という歌との出会いは、強烈だった。ガサッと心臓をすくわれたような気持ちになった。
それから約十年。書店で「たとへば君」というタイトルを見て、「あ、あの歌」と記憶がよみがえった。作者の名前も初めて意識したし、夫さんが歌人だというのも、初めて知った。乳癌で亡くなったということも。
歌人・河野裕子という人の生涯や夫婦での相聞歌、代表的な作品、手記、いろいろなものが散りばめられていたが、やはり私にとってこの人は「たとへば君」である。生涯で何首も歌を詠んだだろうが、私にはこの一首で十分だ。ガサッと落ち葉すくうように私をさらって行ったあの歌。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
短歌
- 感想投稿日 : 2011年11月21日
- 読了日 : 2011年11月21日
- 本棚登録日 : 2011年11月17日
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