その小説が面白かったかどうかは結局は読んでみなければわからない。ベストセラーが素晴らしいわけでもなければ、泣けると言われた作品で泣けないことはよくあることだ。
そして僕はこの小説を読んで心がえぐられる思いをして泣いた。切なさを思い出し、大人になるためにそっと隠しておいたそれを見せられたような気持ちだった。
”ただ生活をしているだけで、悲しみはそこここに積もる”
ここから始まる第三話「秒速5センチメートル」6章は、十数年前の自分が書いたような錯覚さえ覚える。
劇的な何かが起こるわけではなく、幸せな結末が待っているわけではない。そして僕はずいぶんと大人になってしまったせいで人生がそういうものであることを知っている。
だからこそ僕はこの小説の本質的なすごさがわかると思いたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内文学
- 感想投稿日 : 2012年12月3日
- 読了日 : 2012年11月27日
- 本棚登録日 : 2012年11月25日
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