技術の創造と設計

著者 :
  • 岩波書店 (2006年11月8日発売)
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本棚登録 : 224
感想 : 13
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(僕としては失敗学の権威というイメージが強かった)畑村先生の本。 工学系の大学生、大学院生を読者対象と一番目にしていることもあり、速読というよりもじっくり教科書的に何度も振り返るという本の印象。 あとがきにも書かれているが「私が40年かけて構築してきた考えを表出し、集大成したものである」とのことですごくアツい本でした。
『技術の創造と設計』、昨今はデザインシンキングもだいぶ盛んになってきて、ことデザインということばと設計という言葉を意識することが増えてきたのであるが、
・個々の着想、バラバラの着想を分類し、共通概念でくくる
・別の概念に移って使う概念を選択する
・脈略をつける
といった、まさにデザインシンキングの時にもよく出てくるような、やはりこういう設計の学問はある一定の普遍的なメソドロジーがあるんだと、時々読み返したくなるような本だなぁと思った。 ふせんをいくつか貼って、ときどき見返したい。  ぼくはもともとが機械屋で、大学で計算機をやって、ICTの世界に入ってきた人間であって、失敗学の話や、設計者の頭の中の話など、本当にたくさんの興味深い話があった。  昨今のソフトウェアエンジニアの方々にも本質をしる意味で、読んでほしい本。

また、P323にこんな記述もあった。
「自分で考える」には、個の独立が大前提である。 日本の社会は、”和をもって尊しとなす”を美徳とし、集団を大事にする。 たしかに集団は大事である。 しかし、集団ばかりを優先すれば、個が考えなくなり、個が判断をしなくなり、かえって集団の力を失わせることになる。 大事なのは、まず個の独立を確立したうえで、集団で共有することなのである。
→ こちら、ラグビーの平尾誠二さんが、「One for All, All for One」の概念を正しく理解・説明する際にも用いた、『「一人ひとりが『自立』した大人である」ことが必要』と極めて類似していて、印象的。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: デザインシンキング関連
感想投稿日 : 2019年4月24日
読了日 : 2019年4月19日
本棚登録日 : 2019年4月19日

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