はっとさせられて、心に残る一文も多かったのだが、全体としてはすんなりと腑に落ちない印象を受けた。文章は読みやすいが、中身が素人には少々とっつきにくい気がした。
筆者がクライエントである子供たちが現実世界へ不適応を起している状況を『異界に居る』と表現しているのだが、その『異界』という表現そのものに馴染めなかったのが原因のようだ。
ファンタジーが好きで、異界には人外が住む世界というイメージがあり、また私がこのあたりの本を読みなおそうとして求めていたものが『現実に不適応を起している相手が自分とは異なる世界に住んでいる』のではなく、『現実に不適応を起している相手は自分と同じ世界に住んでいるけれども、表現形が違うからそれが自分には分からない』というイメージで異界という表現が自分にとってそぐわないからか。実際には、相手が異界に居て、自分と違う景色や感じ方をしていると考えた方が接しやすいのかもしれないが、そのあたりが自分の中で納得も整理も仕切れておらず。これはもう自分とは表現形が合わなかったとしか言いようが無いが、考えるきっかけはたくさん貰えたので、読んで後悔したものではない。
ただ、異界に居る輝き、というものは不思議だ。これは自分が全く想像できないの。
そして、そもそも、その人の現実世界への不適応が物語として語られることに納得がいかなかったというべきか、説得されなかったというべきか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年11月3日
- 読了日 : 2015年11月3日
- 本棚登録日 : 2015年11月3日
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