腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年7月30日発売)
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本棚登録 : 258
感想 : 41
3

腰痛の描写が恐ろしい。
痛みが読み手にも伝染しそうなほど。
たまたま自分の腰痛の調子が悪いタイミングだったので痛みが増しそうで読み進めるのが怖かった。
8合目ほどまではひらすら著者が腰痛に苦しむ描写ばかりで何を試しても良くなる兆しもなく、このまま終わってしまうのではないかと思った。
担当医にあたる描写などもあけすけに書かれているが、それほど痛みが辛く酷いものだったのだろう。
よく耐えたものだなと思う。
著者は様々な支えがあったから乗り越えられたものの、もしもこれが孤独な人間だったら…と思うとゾッとする。
心の負荷がこれほどまで身体へ直結するものだとは知らなかった。
本質とは逸れるが、複雑な感情や高度な知能なんて持たない方が人間は幸せだったのではないだろうか。
心身症やうつなどはそれらの副産物だとしか思えない。
こんなリスクを抱えるくらいならもっと単純な別の生き物でいたかったと思ってしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月28日
読了日 : 2022年2月28日
本棚登録日 : 2022年2月28日

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