・ずっと一人称の主観的な世界に、終盤他者が入ってくることで初めて主人公に対する客観的な視点が入り、それまでとそこからでイメージががらっと変わるところが秀逸
・言い回し、比喩、言葉遣いがユニークでおもしろい。一文が長めで、流れるような文体、リズムが良い
P15 医師の頭の先っぽがわたしの奥歯にあたって、ある達成がどんときらめいたような気がしたんですが、…
16 なんでやの、なんでここにペンなんかもちこむの、一回性の運動を、なんで記録なんかそんな阿呆なことしようとするんのよ、…
22 …あんたがあたしらの知らんところでどんなに謙虚でどんなにポップな人やとしてもこれはけっこうな問題よ。だつわて歯の痛みを知らん人といったい何を渡しあって話したらいいっていうの!
32 今、青木が、仕事場か部屋か、まあこの世界のどこかにいて、どこかから何かを見てたり、聴いていたりするんでしょう、でも、この世界のなかにその場所というのはそこならただひとつしかなくて、お母さんはそのひとつしかない場所のことを思うのです。…お母さんがぜったいに、知ることのできない、立つことのできない、そのものがある場所のことを思うのですよ。
39 お母さんのところには、梱包された荷物みたいにどしんと夜が来ることがあります。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2019年3月1日
- 読了日 : 2019年2月28日
- 本棚登録日 : 2019年2月28日
みんなの感想をみる