コンビニ人間

著者 :
  • 文藝春秋 (2016年7月27日発売)
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社会の中で生きる多くの"普通"つまり"多数派"の人間は、排除すべき存在を、というか自分に向かってくるいろんな人を都合のいいように解釈して(作り替えて)受け入れているんだなと、それも無意識のうちに。そもそもの主人公が社会でいう「ムラから排除される人間」だから、その視点で描かれるのが新鮮でおもしろかった。彼女の視点で見る社会はこんなにも自分と違うのか。

そもそもなんでみんなが自分を心配そうに見つめるのかわからないという主人公の視点に立つと、見つめる側への違和感を感じる。"結婚は当たり前" "就職は普通" というのは今まで一般論として受け入れていたけれど、本当にそうなの?と疑問を持たずにはいられなかった。彼女はずっと多数派の普通の人間に合わせて生きてきたのに、どうして合わせてもらった人たちが彼女を否定できるのだろうか。最終的に彼女が"コンビニ店員"という新しい生物として生まれ変わったのを、私は肯定したい。ゾッとするシーンが多々ありますが主人公が軽いのでテンポ良く読めました。最後に、改めてですが、コンビニ店員の皆さんいつもありがとうございます!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月27日
読了日 : 2021年7月20日
本棚登録日 : 2021年8月1日

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