「久世光彦(てるひこ)」が作家「向田邦子」の思い出を綴ったエッセイ集『触れもせで―向田邦子との二十年―』を読みました。
ここのところ「向田邦子」関連書籍がマイブーム… 4冊連続ですね。
-----story-------------
遅刻魔――あんなに約束の時間にいい加減な人も珍しかった。
嘘つき――大きな嘘も上手だったが、とりあえずの小細工もうまかった。
泥棒――どこを探してもあの人からもらったものなど出てきはしない。
奪られてばかりいた。
20年のパートナーなればこその知られざる“向田邦子の素顔”をはじめて明かす。
-----------------------
「向田邦子」と「久世光彦」は、二十年来の交遊があったらしいですね… 恋愛感情はなかったようですが、心情豊かに綴られた文書には愛情が感じられる温かさがあったし、余人には窺い知れぬ「向田邦子」の素顔も知ることができて、愉しく読めました。
■遅刻
■財布の紐
■漱石
■名前の匂い
■爪
■昔の大将
■春が来た
■私立向田図書館
■ゆうべの残り
■おしゃれ泥棒
■三蹟
■触れもせで
■青空、ひとりきり
■弟子
■雁の別れ
■アンチョコ
■ミス・メモリー
■小説が怖い
■上手い
■恭々(うやうや)しき娼婦
■ラストシーン
■お母さんの八艘飛び
■三変わり観音
■死後の恋
■向田邦子熱―あとがきに代えて―
■解説 黒柳徹子
■向田邦子年表・1 生い立ち
■向田邦子年表・2 書籍
■向田邦子年表・3 テレビドラマ
本書を読むことで、これまでに抱いていた「向田邦子」像を、少しずつ補正して、さらにリアルに近づけて行った感じ… 「狡くて可愛い女」「良き時代の良き娼婦の資質を持った女、娼婦の資質を持ちながら娼婦になれなかった女」等、「久世光彦」の鋭い感性で表現した「向田邦子」という女性像は本当に魅力的で、これまでに知らなかった側面を知ることができましたね、、、
個人的には『名前の匂い』に綴られている、
「普通がいちばん幸せという向田さんのことを、以前よりずっと好きになった」
という一文が印象に残りました… 名前も、生活も、行動も、フツーでいられることがイチバンだと思いますからね。
生前に会いたかったなぁ… ついつい、そう感じちゃいますね。
- 感想投稿日 : 2023年2月2日
- 読了日 : 2018年10月22日
- 本棚登録日 : 2022年3月11日
みんなの感想をみる