触れもせで: 向田邦子との二十年 (講談社文庫 く 36-1)

著者 :
  • 講談社 (1996年4月1日発売)
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感想 : 10
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「久世光彦(てるひこ)」が作家「向田邦子」の思い出を綴ったエッセイ集『触れもせで―向田邦子との二十年―』を読みました。

ここのところ「向田邦子」関連書籍がマイブーム… 4冊連続ですね。

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遅刻魔――あんなに約束の時間にいい加減な人も珍しかった。
嘘つき――大きな嘘も上手だったが、とりあえずの小細工もうまかった。
泥棒――どこを探してもあの人からもらったものなど出てきはしない。
奪られてばかりいた。
20年のパートナーなればこその知られざる“向田邦子の素顔”をはじめて明かす。
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「向田邦子」と「久世光彦」は、二十年来の交遊があったらしいですね… 恋愛感情はなかったようですが、心情豊かに綴られた文書には愛情が感じられる温かさがあったし、余人には窺い知れぬ「向田邦子」の素顔も知ることができて、愉しく読めました。

 ■遅刻
 ■財布の紐
 ■漱石
 ■名前の匂い
 ■爪
 ■昔の大将
 ■春が来た
 ■私立向田図書館
 ■ゆうべの残り
 ■おしゃれ泥棒
 ■三蹟
 ■触れもせで
 ■青空、ひとりきり
 ■弟子
 ■雁の別れ
 ■アンチョコ
 ■ミス・メモリー
 ■小説が怖い
 ■上手い
 ■恭々(うやうや)しき娼婦
 ■ラストシーン
 ■お母さんの八艘飛び
 ■三変わり観音
 ■死後の恋
 ■向田邦子熱―あとがきに代えて―
 ■解説 黒柳徹子
 ■向田邦子年表・1 生い立ち
 ■向田邦子年表・2 書籍
 ■向田邦子年表・3 テレビドラマ

本書を読むことで、これまでに抱いていた「向田邦子」像を、少しずつ補正して、さらにリアルに近づけて行った感じ… 「狡くて可愛い女」「良き時代の良き娼婦の資質を持った女、娼婦の資質を持ちながら娼婦になれなかった女」等、「久世光彦」の鋭い感性で表現した「向田邦子」という女性像は本当に魅力的で、これまでに知らなかった側面を知ることができましたね、、、

個人的には『名前の匂い』に綴られている、

「普通がいちばん幸せという向田さんのことを、以前よりずっと好きになった」

という一文が印象に残りました… 名前も、生活も、行動も、フツーでいられることがイチバンだと思いますからね。

生前に会いたかったなぁ… ついつい、そう感じちゃいますね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>エッセイ/コラム/旅行記/私小説
感想投稿日 : 2023年2月2日
読了日 : 2018年10月22日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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