ロビンソン漂流記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年6月4日発売)
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感想 : 32
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「ダニエル・デフォー」の冒険小説『ロビンソン漂流記』を読みました。

「高橋大輔」の著書『ロビンソン・クルーソーを探して』を読んで、久しぶりに『ロビンソン漂流記』を読みたくなったんですよね。

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ひとりで無人島に流れついた船乗り「ロビンソン・クルーソー」 ――孤独と闘いながら、神を信じ困難に耐えて生き抜く姿を描く冒険小説。
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初版の正式なタイトルは、

『「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」(The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner: Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un‐inhabited Island on the Coast of America, near the Mouth of the Great River of Oroonoque; Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. With An Account how he was at last as strangely deliver’d by Pyrates)』

という、ムッチャ長い名前だったようです。


子どもの頃に読んだ記憶では、ワクワクドキドキする冒険物語という記憶があったのですが、改めて読んでみると随分イメージが違っていました。

難破した船から独りだけ生き残り、孤独に耐えながらも、生き抜くために衣食住について知恵と工夫と努力で自給自足の仕組みを作り上げ… そして野蛮人(人食い人種)から襲撃に怯えながら過ごす無人島の生活、、、

神の存在や正義について真剣に考え、苦悩したり、喜んだり、悲しんだり等、精神面の描写が克明に描かれていて、単なる冒険小説ではなく、哲学的、宗教的要素も強い作品でしたねぇ。


考えに一貫性がなく、支離滅裂に思案したり、自分に都合の良いように利己的に考えたりするところは、ちょっと苛立ちを感じながら読みましたが、、、

よくよく考えてみると、それが真剣に物事を考えている際の、人間の思考なんだろうなぁ… と感じました。


子どもの頃は、きっとダイジェスト版のような作品を読んだんでしょうね。
この内容は、子ども向けじゃないですねぇ。

28年と2ヶ月と19日に及ぶ無人島の生活は、ワクワクドキドキする内容ではなく、自分の生き方を見つめ直すような内容でしたね。


そして、本書を読んで改めて感じたのは、衣食住を全て自分独りで行おうとすることの困難さ。

小屋を建てたり、テーブルやイスを作ったり、食器や籠、農機具等の様々な道具を作ったり、衣類を縫ったり、パンや乾物等の加工食品を作ったり… 何も無いところから、全てを行うなんて、自分にはできないだろうなぁ。

自分が住んでいるところ、着ているもの、食べているもの… それらが、多くの人(職人)の手を経て作られていて、様々な器具や工具、道具等によって加工されているということを改めて感じました。


それから、モノを多く持つことのムダについても、考えさせられましたね。

「この世にあるどんないいものでも、我々が使用できる範囲でしか、我々にとって価値がないことを知った。」という「ロビンソン・クルーソー」のコメント… 自分の生活を振り返る、良いきっかけになりそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>大衆文学あれこれ
感想投稿日 : 2022年5月25日
読了日 : 2013年1月9日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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