悪夢の商店街 (幻冬舎文庫 き 21-7)

著者 :
  • 幻冬舎 (2010年10月8日発売)
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「木下半太」の悪夢シリーズ第六弾『悪夢の商店街』を読みました。

『悪夢のドライブ』、『奈落のエレベーター』、『悪夢のギャンブルマンション』に続き「木下半太」作品です。

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美人結婚詐欺師の「世良公子」が凄腕詐欺師に命じられたのは、さびれた商店街の豆腐屋の息子と結婚すること。
詐欺師は億単位の金しか狙わない。
ということは、こんな街に大金が隠されている!?
「公子」は大金を横取りしようとするが、味方は五歳の甥「象」だけ。
そこに、ヤクザ「石嶺」と女子高生ペテン師「桜」が参戦し、果てしない騙し合いが繰り広げられる。
痛快サスペンス。
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『悪夢のドライブ』と同じで大阪が舞台なんだなぁ… と思って、読み進んでいると、『悪夢のドライブ』に登場したペテン師を目指す少女「桜」と門田組の若頭「石嶺」が再び登場して、大阪下町のキララ九条商店街で騙し合いのドタバタ詐欺勝負を繰り広げます。

狙われているのは、ベトナム戦争時に米軍が開発した、アジア民族だけが発症する新型インフルエンザのワクチン、、、

20年前にベトナムでワクチンを入手し、その後、キララ九条商店商店街に暮らす「工藤」、ベトナムで「工藤」に裏切られた「魔術師」、「魔術師」に脅されて詐欺に加担することになった結婚詐欺師の「公子」、そこに「桜」や「石嶺」が絡んで、レベルの高い騙し合い、裏切り合いの連続で、どんどん先が読みたくなり、一気に読める魅力のある作品でした。


孤児院世良学園で辛い生活を送っていた、少女時代の「麒麟」と「公子」の暗い過去も絡めてあり、これまでの作品に比べ、感情移入しやすいストーリーになっていたと思いますね。


そして、エンディングでは、

豆腐屋に隠されていると思われたワクチンが、ある食品(嗜好品?)にカモフラージュされて喫茶店に隠されていたり、

「工藤」と思われていた人物が別人だったり、

「公子」の詐欺師としての才能は、遺伝だということがわかったり、

という意外性があったり、

「世良学園のばばあ(園長)」や「麒麟」と「象」の親子、「公子」や「カンちゃん」のカップル等がハッピーな状態でエンディングを迎えるのところも良かったですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(国内)
感想投稿日 : 2022年6月13日
読了日 : 2013年11月13日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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