ホテル1222 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2015年9月30日発売)
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ノルウェーの作家「アンネ・ホルト」の長篇ミステリ作品『ホテル1222(原題:1222)』を読みました。

「エルスベツ・イーホルム」、「A・J・カジンスキー」に続き北欧ミステリ作品… 「アンネ・ホルト」作品は2年近く前に読んだ『凍える街』以来ですね。

-----story-------------
雪嵐の中、オスロ発ベルゲン行きの列車が脱線、トンネルの壁に激突した。
運転手は死亡、乗客は近くの古いホテルに避難した。
ホテルには備蓄がたっぷりあり、救助を待つだけのはずだった。
だがそんな中、牧師が他殺死体で発見された。
吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない。
乗客のひとり、元警官の車椅子の女性が乞われて調査にあたるが、またも死体が……。
ノルウェーミステリの女王が「クリスティ」に捧げた、著者の最高傑作!
解説=「若林踏」
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オスロ市警の腕利き女性犯罪捜査官「ハンネ・ヴィルヘルムセン」シリーズの第8作目… 本作から元オスロ市警警部となっており引退後の物語になっています、、、

前回読んだ『凍える街』が第7作目だったので、その続きという位置づけです… ホントは第1作目から順番に読んだ方が、彼女の過去の経験が色濃く反映されて形成された思考ロジックや挙動、複雑な精神状況等が理解できて物語に入り込みやすいのですが、第1作目~第3作目は邦訳されているが入手困難で、第4作目~第6作目は未訳らしいのでやむを得ないですね。


2007年2月14日、職務中の負傷により車椅子での生活を余儀なくされ、警察を辞職した「ハンネ・ヴィルヘルムセン」が乗車していたオスロ発ベルゲン行きの列車が、雪嵐の中で脱線し、山中にあるトンネルに激突… 事故により運転手は死亡し、負傷者を含む268名の乗客たちは近くの古いホテル〈フィンセ1222〉に避難した、、、

幸運にも列車には「マグヌス・ストレング」等、8人の医者が乗り合わせており、ホテルの支配人の「ベーリット・トゥヴァッラ」の手厚いもてなしを受けた乗客たちは救助を待つだけでいいはずだった… だがそんな中で、乗客のひとりで牧師の「カート・ハンメル」が銃で撃ち殺されているのが発見された。

吹雪は止む気配を見せず、救助が来る見込みはない… 人々は次第に苛立ち、そして怯え始める、、、

おまけにホテルの最上階には、正体不明の要人が宿泊しているとの噂が… どうやら脱線した列車の最後尾に特別車両が連結されており、そこに乗車していたらしいのだ。

乗っていたのはノルウェーの王族? それとも移送中の犯罪者? 凶悪なテロリスト? 人々の憶測はとどまるところをしらない… 元警官の「ハンネ」が乞われて牧師殺人の捜査を請け負うことになるが捜査は難航、事件は一向に解決せず、次々と被害者が、、、

老人の「エリアス・グラウ」が心臓発作で亡くなり、国立教会使節団秘書の「ローアル・ハンソン」が氷柱で刺殺され、金融界の大物「スタイナー・オース」が窓から転落死… 吹雪で閉じ込められたホテルの中に潜む犯人は誰?「ハンネ」の推理は?

とまぁ、所謂"孤島モノ"とか"雪の山荘モノ"と呼ばれるサブジャンルに属する作品でしたね… 乗客たちの証言から「カート・ハンメル牧師」の過去の悪行が徐々に明らかになり、なんとなく動機も想定できるものの、、、

偶然が重なったことにより犯罪が可能となっており、計画性が感じられないことや、真犯人が序盤から挙動不審な人物として描かれてはいるものの、読者への情報が不足しており、「ハンネ」の推理に納得できなかったんですよねぇ… 読んでる側からすると唐突な感じでしたね。
 
「アガサ・クリスティ」の『そして誰もいなくなった』を意識した作品で、終盤に「ハンネ」が容疑者を一堂に集めて推理を説明して犯人を指摘するという本格派推理小説っぽい展開ではあるのですが… ちょっと物足りなさを感じました。



以下、主な登場人物です。

「ハンネ・ヴィルヘルムセン」
 元オスロ市警の警部

「ガイル・ルグホルメン」
 弁護士

「ヨハン」
 自然体験ツアーの主催者で赤十字のメンバー
 
「マグヌス・ストレング」
 医師

「カート・ハンメル」
 オスロの教会の牧師

「ローアル・ハンソン」
 国立教会使節団の秘書

「アドリアン」
 十五歳の少年

「ヴェロニカ」
 アドリアンと行動をともにする若い女性

「カーリ・トゥーエ」
 評論家。テレビなどにも出演

「スタイナー・オース」
 金融界の大物

「ミケル」
 若者グループのリーダー

「ベーリット・トゥヴァッラ」
 <フィンセ1222>の支配人

「ネフィス」
 ハンネのパートナー

「マリー・サムエルセン」
 ハンネとネフィスの家の家政婦

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: <読む>ミステリ(海外)
感想投稿日 : 2022年11月30日
読了日 : 2018年1月5日
本棚登録日 : 2022年3月11日

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