「沢木耕太郎」の映画エッセイ『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』を読んで観たくなった数多くの作品のひとつ… 先日の『黙秘』、『パリ空港の人々』に続き『ブラス!(原題:BRASSED OFF)/1996』を嫁さんと一緒に観ました。
-----story-------------
1917年に炭坑夫の余暇活動として結成されたバンド、「グライムソープ・コリアリー・バンド」の実話をヒントに映画化。
崩壊してゆくコミュニティーを舞台に、音楽と共に生きる歓びと、友情に支えられた人生の素晴らしさを感動的に描く。
「ピート・ポスルスウェイト」、「ユアン・マクレガー」出演。
炭坑閉鎖に揺れる街。
人々は生きる希望を失いかけていた。
そんな時、彼らに勇気と希望を与えてくれたのが音楽だった。
炭坑夫の仲間たちで結成された伝統あるバンドは、街と自分たちの誇りを賭けて全英大会に出場し、決勝大会が開催されるロイヤル・アルバートホールを目指す。
-----------------------
音楽ってイイなぁ… 仲間ってイイなぁ… そして、仲間と一体感を得ることのできる何かがあるのって大切なことだよなぁ… と感じさせられた作品ですね。
わかっていても泣けてしまう、、、
病に倒れた「ダニー」の入院する病院の前で、バンドでの最後(のつもり)の演奏になることを決意して、で坑道で使っていたヘルメットを被り、ヘルメットのライトを灯し"ダニー・ボーイ"を演奏をするシーン、
バンドが一旦解散免れ、決勝大会でロイヤル・アルバートホールで"ウィリアムテル序曲"を演奏するシーン、
そして、優勝後、カップの授与を拒否した「ダニー」の優勝スピーチからエンディングのロンドンバス(なぜかフルオープン状態… )での"威風堂々"の演奏シーン、
どれも、印象の残る場面でしたね。
1984年以来、イギリスでは140の炭鉱が閉鎖され25万人の失業者が出て、家庭崩壊、生活の根本的な破壊、人々の疑心暗鬼… 等、コミュニティが崩壊したとのこと。
感動の裏で、そのことを告発するメッセージ性の強い作品… 派手さはないけど、印象に残る作品でした。
以下、感動的な「ダニー」の優勝スピーチです。
彼らは言うでしょう。
私には何よりもトロフィーが大事と。
だが違う。
以前は 音楽こそが大事と思っていました。
しかし人間の大切さには及びません。
そこで私たちは、トロフィーの受領を―― 拒否します。
どうです?
ニュースでしょう?
これは私個人の独り言には収まりません。
この10年来 政府は、産業を破壊してきた。
我々の産業を さらには―― 我々の共同体 家庭生活を。
発展の名をかりたまやかしのために。
2週間前 このバンドの炭坑も閉鎖されました。
またも大勢が、職を失った上に―― 大会に勝つ意欲闘う意志まで失いました。
しかし生きる意味すら失ったら… 悲惨です。
皆さんは―― アシカやクジラのためには立ち上がる。
でも彼らは ごく普通の―― 正直で立派な人間です。
その全員が希望を失っているのです。
彼らは、すばらしい演奏をします。
でも何の意味が?
~沈黙~
では仲間と町に帰ります。
ありがとう。
-------------------------------
監督: マーク・ハーマン
製作: スティーヴ・アボット
脚本: マーク・ハーマン
撮影: アンディ・コリンズ
美術: ドン・テイラー
衣裳: エイミー・ロバーツ
編集: マイケル・エリス・エース
音楽: トレヴァー・ジョーンズ
演奏: グライムソープ・コリアリー・バンド
出演:
ピート・ポスルスウェイト ダニー
ユアン・マクレガー アンディ
タラ・フィッツジェラルド グロリア
スティーヴン・トンプキンソン フィル
ジム・カーター ハリー
メラニー・ヒル サンドラ
スー・ジョンストン ベラ
フィリップ・ジャクソン ジム
メアリー・ヒーリー アイダ
- 感想投稿日 : 2022年5月9日
- 読了日 : 2012年4月5日
- 本棚登録日 : 2022年5月9日
みんなの感想をみる