私たちはどんな世界を生きているか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2020年10月21日発売)
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感想 : 18
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 グローバル経済と新自由主義、IT技術やAI。現代世界がものすごい勢いで変化しているのは分かるのだが、それが世界各国で起きているポピュリズムや排外主義的動き、格差の拡大による社会の分断といった現象と、そもそも関連しているのかどうか、関係があるならば一体どう関連しているのかが良く分からなかった。
 本書は、そうした問いに対して、見取図を与えてくれる。

〈なるほどと思った箇所〉 
・現在、先進国で起きている問題の基軸は、20世紀半ばに世界戦争後に立てられた秩序原理を失効させようとする動きと見られる。 
・グローバル市場の成立によって、国家の役割が経済システムの自動化に吸い取られていく、そして、「国民」は、国家の保護枠から放り出されて、グローバル経済に参画するグループや法人の、使い捨ての資材や売り物になっている。

・あらゆる人間がコンピュータを使わざるを得ない社会になり、社会生活のインフラになったものがアメリカの影響力で世界に押しつけられる一方で、私的所有権(知的所有権)の下に置かれ、そこから生まれる富が所有権の保持者に集中する。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月25日
読了日 : 2020年10月24日
本棚登録日 : 2020年10月24日

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