銀行家バルストロードの前に、彼の過去の秘密を知る無頼漢ラッフルズが現れ、前巻では、バルストロードの回想の形で読者にもその秘密が明らかにされ、登場人物ウィル・ラディスローとの関わりも明らかになった。
ラッフルズに金をせびられ、気が気ではないバルストロードであったが、ラディスローが突然倒れ、彼の元に運び込まれたことから、医師リドゲイトに治療を頼むことに。看護を任されたバルストロードだったが、適正を欠いた看護もあり、ラッフルズは亡くなってしまった。
また、診療を依頼されたリドゲイトだったが、一旦はバルストロードに断られた借金を受けてもらえることになり、当面生活が立ち行くことになった。
秘密が守られたかと思いきや、生前のラッフルズの自慢語りが次から次へと噂となって伝わり、遂にバルストロードはミドルマーチにおける地位を追われてしまう。また、リドゲイトがバルストロードから受け取った金は賄賂だったのではないかと疑われてしまう。
ここまでが第7部。
町の噂に押しひしがれるリドゲイトに対して、ドロシアは支援の手を差し伸べようと彼と話をする。自分のことを信じてくれる人がいることを知ったリドゲイト。そしてドロシアはリドゲイトの妻ロザモンドを訪ねたところ、そこにはウィルがいた。再び出会った二人。
そこから二人は。
フィナーレとして、登場人物それぞれの人生が簡潔に紹介される。こうして、全8部の大長編小説は幕を閉じる。
リドゲイトとロザモンドの夫婦関係、バルストロードの自分本位の信仰心などは作者の筆の冴えが感じられた。それに比べると、ドロシアとウィルの繋がりがもう一つ納得できなかったのが、全体を通しての感想。
主要登場人物のほか、脇筋的人物も魅力的だし、人物の心理や人間関係の機微がたっぷりと描かれている。また、当時のイギリス社会の状況、例えば政治や新聞、医学などについても、ストーリー展開の中でうまく取り上げられている。
非常に読み応えがあって、小説読みの醍醐味を堪能できた。
- 感想投稿日 : 2021年7月11日
- 読了日 : 2021年5月16日
- 本棚登録日 : 2021年5月16日
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