臨海楼綺譚 新アラビア夜話第二部 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2022年4月12日発売)
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本棚登録 : 52
感想 : 7
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 表題作の「臨海楼綺譚」、冒険小説とか、女性を守る騎士道的な物語が好きな読者であれば、それなりに楽しめるだろうと思う。
 舞台は、リンクスと呼ばれる底なし沼のような流砂のあるエリアに所在する、世を拗ねた者が住む館。昔、彼と喧嘩別れしてしまった語り手が、各地を放浪の果て、久方振りにその土地にやってくる。人嫌いだった彼の館に、深夜、海から上陸してきた長身の紳士と美しい娘。一体彼らは何者なのか、またなぜ秘密めいた行動を取っているのか?
 そこから、美しい女性の愛情獲得を巡る男の争い、秘密結社から命を狙われている彼女の父親を守ろうとしての命懸けの戦いが始まる。果たして‥‥。
 この時代ならではの感は否めないが、語り手のかつての友人であり恋敵となったノースモアの人物造形はなかなかのものである。

 他の収録作は、やや雑多な印象。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月2日
読了日 : 2022年4月17日
本棚登録日 : 2022年4月17日

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