線の冒険 ――デザインの事件簿 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2022年2月12日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 5
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 本書でいう「線」とは、幅が極端に狭い「面」ではなく、点が動くことによってできた、運動の軌跡のことを指す。そして線の軌跡は、多くのドラマをもたらすだろう。
 ということで、子午線や光速を測るためのメートル法の話。マルセル・デュシャンの〈大ガラス〉のひび割れ。魔法陣の軌跡。真珠湾攻撃後、最初の東京爆撃を決行したドゥリットル隊各機の軌跡と、アメリカに向けた風船爆弾の軌跡(アメリカ本土に900〜1000個届いたということは知らなかった)。
 朝鮮戦争の前線の動き。何度も地図で見たことはあったが、正に線の軌跡。
 そして、エッフェル塔、東京タワー。 

 思いも寄らぬ線の軌跡に酔ってしまいそうに、話は次から次へと進んでいく。収録されている多数の図や写真を見ているだけでも楽しくて堪らない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月13日
読了日 : 2022年2月23日
本棚登録日 : 2022年2月23日

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