振り込め犯罪結社 200億円詐欺市場に生きる人々

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  • 宝島社 (2013年11月22日発売)
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振り込め詐欺が第一世代、第二世代と変遷を経ながら組織化されていく様子が稼業人へのインタビューにより詳らかになる。

第一世代:五菱会というヤクザによる業態
縦社会が厳格なヤクザ組織のやり方により芋づる式に捕まり撲滅

第二世代:分業制になり、下が捕まっても上が捕まらない図式に。本の内容はここがメイン。
振り込め詐欺株式会社のような組織になる。

金主=投資家
番頭=社長、管理職
プレイヤー=営業職社員
名簿屋 道具屋 研修=業務提携の専門職
ダシ子=事務員(逮捕リスク大)

といった感じだ。一歩ミスれば逮捕という極限状態で業務を行なっているため危機管理や連携プレーが見事である。

第三世代:携帯電話や口座認証のセキュリティがあがりより手法が巧妙に。

手段が電話から対面へと変容していく。名簿もより精度があがってゆく(国勢調査などを装い電話で調査したり)。

また、名簿屋 道具屋を店舗内で囲い込むようになる。


ざっとこんな感じだろうか。


詐欺が出来る位なのだから頭が賢く一般社会でもやっていけるような人も多いと感じた。興味深いのは、裏社会にもヤクザ、半グレ...と種類があり棲み分けている点だ。ヤクザは下の面倒を見る、詐欺集団の半グレは逮捕されたら下をきる。そもそもの考え方が違うからこそあい容れないが切っても切れない縁がある。半グレの間で問題が起きるとバックについているヤクザが出てきて話をつけるからだ。

日常生活を送っていると決してわからない裏社会を垣間見ることができて興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年1月10日
読了日 : 2021年1月10日
本棚登録日 : 2021年1月10日

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