柚月裕子『凶犬の眼』角川文庫。
文庫化されたので再読。最近、シリーズ完結編の『暴虎の牙』も刊行されたようだ。
『孤狼の血』シリーズ第2作。『慈雨』から『孤狼の血』と今や男性作家よりも男らしい傑作を上梓し続けている柚月裕子がまたも男の小説を描いてみせた。面白い。しかも、まだ続編の余地がありそうだ。
主人公は『孤狼の血』で広島の所轄署の捜査二課に配属され、大上と共に暴力団系列の金融会社に関連した事件の捜査にあたった新人刑事の日岡秀一である。その後、所轄署から田舎の駐在所に左遷された日岡は、懇意のヤクザから得たきっかけを手掛かりに再び陽の当たる場所へと這い上がる決意を固める……
作中の舞台は中国地方なのだが、横手の錦秋湖が登場し、違和感を覚えた。横手は秋田県の地名で、錦秋湖は岩手県の西部にあるダム湖である。柚月裕子が岩手県出身で山形県在住であることから、東北地方に対する思いなのかも知れない。
本体価格780円
★★★★★
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2020年4月29日
- 読了日 : 2020年4月29日
- 本棚登録日 : 2020年4月29日
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