ヘルドッグス 地獄の犬たち (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2020年7月16日発売)
3.97
  • (46)
  • (95)
  • (41)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 852
感想 : 66
5

深町秋生『ヘルドッグス 地獄の犬たち』角川文庫。

深町秋生の最高傑作と呼ぶべき超ハードなピカレスク警察小説。解説は北上次郎で、深町秋生のデビュー前の短編小説の文体をジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』に似ていると論じている。

予想を覆す全く先の読めない展開に手に汗握りながら読み進む。ここまでやるのかという描写の連続に血圧が上がる。ヤクザよりも恐ろしい警察組織。手段を選ばぬ正義は悪としか言えない。

血生臭い展開から物語は始まる。東京の東鞘会に所属する兼高昭吾は組からの依頼で、弟分の室岡と沖縄に渡り、ターゲットの喜納修三を殺害する。ここまで読めば、ヤクザの抗争を描くピカレスクかと思うのだが、そうは問屋は卸さない。

なんと兼高昭吾こと出月梧郎は、警視庁組織犯罪対策部特別捜査隊の潜入捜査官であり、兼高に課せられた最終的な任務は東鞘会の会長・十朱の抹殺だった。兼高は次第に東鞘会で頭角を現し、ついには十朱のボディガードを任されるのだが……

実は十朱も是安という名の警視庁の潜入捜査官であり、悪と暴力に取り込まれたというよりも、警察組織に嫌気がさし、自らの意思でヤクザ界に骨を埋める決意をしたという驚愕の事実。しかし、驚愕はこれだけではない……

本体価格840円
★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2020年7月23日
読了日 : 2020年7月23日
本棚登録日 : 2020年7月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする