教場X 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫 な 17-6)

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  • 小学館 (2022年12月6日発売)
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5

長岡弘樹『教場X 刑事指導官・風間公親』小学館文庫。

シリーズ第5作。6話を収録。

新人刑事の中から経験3ヶ月程度の者を1名選び、風間公親が3ヶ月間みっちり指導する風間道場で新人刑事が捜査した事件の顛末を描く。いずれの短編も犯人は始めから明らかにされているのだが、まるで風間が最初から犯行の全貌を知っていたかのようなストーリー展開が続く。

そして、全編に漂う千枚通しを凶器にした通り魔の影。かつて、風間の右目を奪った通り魔は未だ犯行を続けているのだ。果たして……

風間公親を描いたと思われる表紙イラストはドラマで主役を務める木村拓哉に似ているのは、コマーシャリズムの1つということか。

『第一話 硝薬の裁き』。風間道場の門下生である鐘羅路子は証拠を掴み、被疑者を追い込むことが出来るのか。益野紳佑の妻・才佳は、半年前、車にはねられ亡くなる。事故の唯一の目撃者である娘の麗馨の証言を警察は採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。何度も男に謝罪を求めていた益野はついに自作の改造銃で男を射殺する。★★★★★

『第二話 妄信の果て』。こちらも犯人は始めから明らかになっているが、どうやって嫌疑を固めようというのか。なるほどと思ったのは市販の地図に無断転用防止のトラップが仕掛けられているということ。全く知らなかった。地元新聞社から内定を得た大学4年生の戸森研策は担当教授からゼミ論文の単位を認めない旨の連絡を受ける。慌てて、教授の家に駆け付けた戸森は誤って教授を転落死させてしまう。風間公親の指導を受ける下津木崇人は戸森の犯行を証明しようとする。★★★★★

『第三話 橋上の残影』。余りにも偶然が重なり、偶然により犯人が確定してしまうのには少し興醒め。ある事件をきっかけに恋人を自死で失った過去を持つ篠木瑤子は原因を作った男を通り魔殺人に見せかけて刺殺する。風間道場の中込兼児は殺害された男の身元と犯人を特定しようと捜査する。★★★★

『第四話 孤独の胞衣』。犯人の犯行を証明したのは何と……なかなかの謎解き。工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した短大生の萱場千寿留は出産を決意する。浦真に呼び出された千寿留は子供を奪われそうになり、逆上して浦真を殺害してしまう。風間道場の隼田聖子は極めて証拠の少ない殺人事件の捜査を行う。★★★★★

『第五話 闇中の白霧』。互いに相手を殺害しようとする男女の犯罪者コンビ。自業自得といったところか。名越研弥は相棒の小田島澄葉と共に闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗おうとした名越だったが澄葉は同意せず、澄葉が邪魔になった名越は澄葉を毒殺する。折下、毒により苦しみながら倒れる澄葉を目撃したのは風間道場の紙谷朋浩だった。★★★★★

『第六話 仏罰の報い』。最終話。風間公親が教場で指導官になった理由が明らかになる。著名な有機化学者の清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、失明したことから一線を退いた。隠遁生活を送る清家は娘に暴力を繰り返す元詐欺師の夫を千枚通しで殺害する。風間は事件現場に既に風間道場を卒業している平優羽子を呼び出す。★★★★★

本体価格780円
★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2022年12月26日
読了日 : 2022年12月26日
本棚登録日 : 2022年12月25日

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