全10巻のセレクト短編集の第2巻。1924年から1933年の10年間に発表された短編15編を収録。戦争、関東大震災といった事変を背景にした作品が多いようだ。
中勘助『島守』。人間嫌いから湖に浮かぶ島に独り島守として移り住んだ私。静謐な自然の中でひっそりと暮す日々を描く。
岡本綺堂『利根の渡』。毎日、利根川のほとりに現れる座頭の目的は何か。ホラーチックな時代小説。
梶井基次郎『Kの昇天』。一面識しかないK君の死の理由は。人間の内面、精神世界に迫る作品。
島崎藤村『食堂』。関東大震災で焼き出された母親が息子が1年後に再建した食堂を訪ねる。震災が残した心の傷と未来に向けた希望が感じられる。
その他に黒島伝治『渦巻ける烏の群』、加能作次郎『幸福の持参者』、夢野久作『瓶詰地獄』、水上瀧太郎『遺産』、龍胆寺雄『機関車に巣喰う』。林芙美子『風琴と魚の町』、尾崎翆『地下室アントンの一夜』、上林暁『薔薇盗人』、堀辰雄『麦藁帽子』、大佛次郎『詩人』、広津和郎『訓練されたる人情』を収録。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2014年10月6日
- 読了日 : 2014年10月6日
- 本棚登録日 : 2014年10月5日
みんなの感想をみる