柚月裕子『ウツボカズラの甘い息』幻冬舎文庫。
文庫化されたので、再読。
これまでの柚月裕子の作品には無かった、ラスト3分の1からの物語のテンポの変化には驚いた。
毎日を家事と育児に追われる平凡な主婦の高村文枝の前にかつての同級生が現れる。同級生が文枝に持ち掛けたのは、多額の報酬を約束する大きなビジネスの話だった。
前半は文枝が同級生の加奈子の罠にはまっていくストーリーと鎌倉の殺人事件を捜査する秦圭介と中川菜月の二人の刑事のストーリーが交互に描かれる。
ここまで読むと詐欺からの殺人事件を描いた、ありきたりな作品かなと思うのだが、二つのストーリーが交錯すると、物語のテンポが明らかに変わる。次々と明らかにされる驚愕の事実にラストは息をつく暇も無かった。
お見事!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2018年10月20日
- 読了日 : 2018年10月20日
- 本棚登録日 : 2018年10月20日
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