『坊っちゃん』の時代 (双葉文庫)

  • 双葉社 (2002年11月12日発売)
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感想 : 35
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関川夏央、谷口ジロー『『坊っちゃん』の時代』双葉文庫。

再読。単行本も持っており、勿論既読ではあるのだが、先日たまたま立ち寄った古本屋で5巻揃いの文庫版の美本を目にし、少し迷いながら購入した。

関川夏央と谷口ジローの名コンビによる大傑作漫画である。刊行当時はこの1巻で完結かと思っていたのだが、漫画誌で断続的に連載が続き、5巻まで刊行されたのには驚いたものだ。また、漫画或いは劇画を超越した表現は非常に斬新であり、万人受けする作品とは思えなかった。

因みにこの最初の巻はカラー版も刊行されている。自分も購入したが、大枚10,000円はする豪華な美麗本だった。

第二回手塚治虫文化賞受賞作。明治38年。神経症に喘ぐ夏目漱石が名作『坊っちゃん』を創作する過程と近代日本の醸成を間近に控えた熱気あふれる時代を関川夏央という鬼才が見事な物語に紡ぎ出し、谷口ジローという類い稀な才能が素晴らしい筆致で描く大傑作。

夏目漱石と共に同じ時代を生きた名だたる文豪たち。ラフカディオ・ハーン、森鴎外、石川啄木、国木田独歩、平塚らいてう、伊藤左千夫、島崎藤村……

「所詮、坊っちゃんは勝てんのだ」。夏目漱石のは時代への敗北を認めながらも、敢えて敗北を受け入れることで自身を保つのだった……

本体価格571円(古本270円)
★★★★★

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2021年10月5日
読了日 : 2021年10月5日
本棚登録日 : 2021年10月5日

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