夏の終り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1966年11月14日発売)
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本棚登録 : 1008
感想 : 102
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瀬戸内寂聴さんの訃報に接して初めてその波瀾万丈な人生を知り、作品が気になって読んでみた。

倫理的にみるとどうしようもなくダメダメだけど、文章から情景が浮かんでくるような、其々の気持ちが痛い程伝わってくる、美しい小説だった。惹き込まれたぁ〜

私も、男性に転がり込まれた生活を、別れを決意しそれを告げてもなおズルズルと引き摺って仕舞う遣る瀬無さには覚えがある。隣で横になりながら次の場所での生活の手続きをして、自らの決断で残してきたくせに、心が切り裂かれるように淋しくなって、連絡が途切れたら不安で見捨てられたような気持ちになりながらも、いつの間にか新しい生活に慣れて存在を忘れちゃって、ある時ふと本当の別れを実感して一人感傷に浸っちゃうような…
瀬戸内寂聴さんには遠く及ばないけど、敢えて辛い状況に身を置き、流した涙の量だけ愛が深まるような気がしていた学生の頃の不憫な勘違いを、思い出した。もうあの頃のような気力は到底ない笑
なかなかに心が掻き乱される作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月12日
読了日 : 2021年12月12日
本棚登録日 : 2021年12月12日

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