甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1998年12月11日発売)
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本棚登録 : 1204
感想 : 149
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愛する者よ、死に候へ。


この強烈すぎるキャッチコピーに、悶絶。昭和の時代のもしかしたら一番、暗くてグロくてけばけばしくて鮮烈な作家と言ったらあたし、山田風太郎先生だと思っているし、なんだろうその、徒花的な大衆娯楽エンターテインメントをもう、心から愛してます。

特にこの作品はその、成熟した世界観が凝縮されていると言ってもいい、と、個人的には思う。

想い合う男女の対比、人としてみられず駒として扱われる忍びの人外の技、異常発達した体躯、その争いと唐突に訪れる死。咲き狂う、という表現がぴたりと合う、その累々と続く死の饗宴自体が、長い長いオーケストラのようだ。


ちなみにこの作品は、バジリスクというタイトルでアニメになっている。言葉で表されている世界観が、せがわまさき氏の美しく(ちょっと過激)な絵で表現されていて、これもこれで面白かった。

本棚に並んでいてもこの本からだけ、むせ返るようなぎらぎらした生命力を感じるのだけど、死を描いて山田風太郎先生が描きたかったのはまさに、生そのものだったと思うから、多分あたしの感覚は、あっているんだろうな。

さらにちなみにググった所、バジリスク2なるオートサジェストキーワードが出てきて、なになに誰かが続編を??と思ったらパチンコだったという。もー。ぬか喜びさせないでほしい。あんな射幸的な娯楽を、こっちと一列に語るなっつーの。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文句なしの、スゴ本。
感想投稿日 : 2012年9月25日
読了日 : 2012年9月25日
本棚登録日 : 2012年9月25日

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