愛する者よ、死に候へ。
この強烈すぎるキャッチコピーに、悶絶。昭和の時代のもしかしたら一番、暗くてグロくてけばけばしくて鮮烈な作家と言ったらあたし、山田風太郎先生だと思っているし、なんだろうその、徒花的な大衆娯楽エンターテインメントをもう、心から愛してます。
特にこの作品はその、成熟した世界観が凝縮されていると言ってもいい、と、個人的には思う。
想い合う男女の対比、人としてみられず駒として扱われる忍びの人外の技、異常発達した体躯、その争いと唐突に訪れる死。咲き狂う、という表現がぴたりと合う、その累々と続く死の饗宴自体が、長い長いオーケストラのようだ。
ちなみにこの作品は、バジリスクというタイトルでアニメになっている。言葉で表されている世界観が、せがわまさき氏の美しく(ちょっと過激)な絵で表現されていて、これもこれで面白かった。
本棚に並んでいてもこの本からだけ、むせ返るようなぎらぎらした生命力を感じるのだけど、死を描いて山田風太郎先生が描きたかったのはまさに、生そのものだったと思うから、多分あたしの感覚は、あっているんだろうな。
さらにちなみにググった所、バジリスク2なるオートサジェストキーワードが出てきて、なになに誰かが続編を??と思ったらパチンコだったという。もー。ぬか喜びさせないでほしい。あんな射幸的な娯楽を、こっちと一列に語るなっつーの。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文句なしの、スゴ本。
- 感想投稿日 : 2012年9月25日
- 読了日 : 2012年9月25日
- 本棚登録日 : 2012年9月25日
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