こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳

著者 :
  • 創元社 (2003年3月20日発売)
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認知療法は薬物療法と同じくらいの効果をもつと聞いてテキストを探したところ、著者である大野先生のサイトからこの本に行きつきました。
伝統的かつ最もオーソドックスな認知療法の解説本です。内容は難しくなく、とても親切に分かりやすく説明されていると思います。それでも私はしばらく手の付け方がわからずお蔵入りさせていました。
今では別冊の7コラム表のフォーマットを何度もコピーして使い回しています。頭の中でも7コラム表を展開できるようになってきました。

きっかけは病院のリワークで認知療法の講義をきちんと受けられたことです。
もし認知療法の理解が10点満点あるとしたら、この本で5〜6点まで行けると思います。それは内容不足というのではなく、残りの点数は自分の書いたコラム表を逐一PSの方に見せるなりして書き方のアドバイスをもらった方が結果につながりやすいという点です。

この著書にもちゃんと書いてあるのですが、1人でやるとどうしても引っかかりやすいポイントがあります。
・「状況」では客観的事実だけになっているか
・「根拠」では状況の検証になっていないか、または主観的な解釈が入っていないか
・そして苦しい気持ちが湧き上がった一場面だけを切り出しているか
認知療法は気が滅入っている時に行うので、気分や気持ち、悪い先読みや深読みなどが入り込んでしまうことが避けられません。私も、ずっと恐怖(90%)とかでコラム表を書いていたので根拠なんてほとんど書けませんでした。
根拠が書けないと良い反証が出てこず、結果的に認知療法の効果が思ったように得られないこともあると思います。また反証も、他の人からたくさんアドバイスをもらった方が回復につながりやすいということを経験しました。

くどくどと知った風なことを書いてしまいましたが、この良著を100%使い切って思考のゆがみを直していけば、いつかは薬に頼ることのない、辛くない生活が待っています。それを信じて何度も繰り返し書きましょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月29日
読了日 : 2022年7月12日
本棚登録日 : 2022年7月12日

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