AIによる都市管理社会を監視官という立場から見渡せる構造になっていて、サイボーグ哲学の入門書的な役割も果たしているように感じた。生活行動への貢献はもちろん、思考や意識の統制にもテクノロジーを採用した人類が生態系としての退化をたどっている様を都市ジャッカーを通してシニカルに表現しているのが印象的で、作中にも名前が出たジョージオーウェルの、おそらく「1984」という作品を嫌でも想起させられた。人を脳と身体に分離させて考える事の線引きを改めて熟考する良い機会になった。ストーリーも悪くないが、そういった背景に着眼するとより一層面白い作品であると言えるのではないか。
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- 感想投稿日 : 2019年1月31日
- 読了日 : 2019年1月31日
- 本棚登録日 : 2019年1月31日
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