「昨日何食べた?」
何気ない一言から始まる本作品では、LGBTQと言って最近市民権を得てきているマイノリティを扱っている。
同居している二人の男性パートナーが主人公。
この作品の見所はやはり筧の作る料理だろう。どれも芸が細かいし、栄養のバランスもきっちりしている。味噌を使ったおかずを作るときは味噌汁ではなくスープにする。野菜は底値で旬のものを使う。クリスマスには、パートナーのリクエストに答え手の込んだ料理を作る。このように、もちろん背伸びすれば真似できなくないけれど、きめ細やかに淡々と楽しそうに毎日の料理を作っていく。
良く、ゲイの方は、家庭力が高いというが、確かに僕の知り合いもケーキを手作りするし、美味しいお店を良く知っている。この辺は丁寧に作られていると思った。
加えて、僕は同性愛者ではないけれど、良く耳にするあるあるが随所に盛り込まれている。
例えば、筧がゲイだと伝えた時に、「ダメよお父さん そんな優しい事言ったらこの人お父さんのこと好きになっちゃう!!」と勘違いされてしまうシーン。ゲイの方曰く、見境なく誰でも好きになるわけじゃないのだ。だから筧はキレていた。
筧が過去に女性と付き合っていたというシーンも、これは映画「ボヘミアンラプソディ」のフレディマーキューがそうであったし、三島由紀夫も女性と結婚して子供を作ったが美輪明宏に恋していたことからもわかるように、同性愛者の悩みの一つだ。
他にもハッテン場(公園)とか新宿二丁目とか、ネタにされるワードもバッチリ使われいる。
このように、丁寧に読むとマイノリティ理解になるツボを押さえている。
「ヤンキーくんと白杖ガール」もツボを押さえた良作だが(これもいつかレビューを書きたい)、本作品も素直に読める良い作品だった。
- 感想投稿日 : 2019年5月8日
- 読了日 : 2019年5月8日
- 本棚登録日 : 2019年5月8日
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