まだ「逆ソクラテス」が図書館の順番が来なくて、こんなに出遅れている時点で伊坂さんのファン失格だ。
というか「ファンなら買え」か…
そういえば、伊坂さんの本は、なぜか単行本を一冊も持っていない…。いつでも出迎えてくれるような安心感があるのよね、だからがつがつ新刊で読まなくても大丈夫!…とよくわからない言い訳してみる。
しかし、この本はどういうわけか、オーディブルの新刊で見て、「すぐ聴きたい!」と思った。
まことさんやnaonaonao16gさんのレビュー読んだからか?
乗り遅れてはいけない気がしてぽちっとする。
しかし、いきなり「登場人物表」を読み上げられる。そういえばnaonaonao16gさんのレビューに書いてあったな…。
にわかに不安になる。「登場人物表作らねばならないほど登場人物が多いのか?ただでさえ人の名前を覚えられない僕が耳だけでストーリーについていけるのか?」と。
しかし、それは無用な心配だった。登場人物の名前を覚えやすくなる仕掛けがあるし、上手な文章は聴くだけですいすい頭に入っていく。
伊坂さんの文章のわかりやすさ、素晴らしさを朗読を聴くことで改めて思い知りました。
さて、この作品において、ニーチェの「永遠回帰」という思想が1つのテーマとなっている。
経験が一回限り繰り返されるという世界観ではなく、超人的な意思によってある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すことを確立するという思想。
人生、どうあがいても、同じことの繰り返し…ってうんざりする考え方ですよね。
でも、この作品ではそこに伊坂風解釈を加え、自分らしく生きていくことの重要性を説いていると僕は解釈しました。生きていく力をもらいました。
伊坂作品の一貫したテーマである、「何が善で何が悪か」は相変わらずひねりが効いていて、だからこそ考えさせられるのだけど、最後は落ち着くところに落ち着いた。
そして、作中に登場するThe Beatles の「A Day In The Life」は僕が人生で出会った中で最も好きな曲だ。初めて聴いた時、間奏とラストのオーケストラの不協和音に「この不穏で調和のなさこそ人生だ!」と、当時中二の僕は悟った(つもりになった)のを思い出した。
- 感想投稿日 : 2021年11月21日
- 読了日 : 2021年11月14日
- 本棚登録日 : 2021年11月14日
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