新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

  • 文藝春秋 (2020年7月31日発売)
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トランプ大統領の新型コロナウイルス感染症罹患のニュースはとても衝撃的だった。
一方、東京都の発表では、5月までに比べて6月以降の方が確実に死亡率は下がっているという。
今、新型コロナウイルス感染症がどのようなフェーズにあって、どう向き合っていけば良いのか難しいところだ。
確かな知識がほしい。

本書は、ウイルス学の世界的権威がコロナについて、これまでにわかって来たこと、分かっていないことを比較的冷静に伝える内容。
ほんとは、「正しい知識を身につけて、恐れることなくウィズ・コロナを実践してほしい」と、言いたいところだけど、これから起こることが予測できないので、「恐れることなく」とは言えないそうだ。

・ウイルスはランダムに変化しているだけ。ウイルスが生き残るために選んだ手段ではない。遺伝子が複製されるときの間違い。ちゃんと複製できれば変異しない。ウイルスに生き残る戦略などない。

・ワクチンには①生ワクチン、②不活化ワクチン、③サブユニットワクチンと3種類あるが、これらの従来型とは別に注目を集めているのが、「遺伝子ワクチン」(DNAワクチンやmRNAワクチン)。コロナのワクチンとして開発を目指している。

・拙速なワクチンの実用化は弊害も大きく、望ましくない。安全性を厳重に確認したワクチンであっても、一定の割合で、必ず重篤な副反応がある。もし実用化を急ぐあまり安全性をしっかり確認できなかった場合は、のちのち人が苦しむことになりかねない。

・また、ワクチンを接種することでADE(抗体依存性感染増強)という、病気がより重篤化する現象が起きることも懸念される。

・新型コロナウイルスの研究では、中国が先頭を走っている。

・インフルエンザと異なり、ウイルスの量と重症度の相関はない。

・ハムスターなどを用いた動物実験で、コロナの抗体はワクチンや治療薬に有効であることがわかっている。

・ウイルスに感染すると、免疫細胞が活性化され、増殖する。異物であるウイルスの排除に関わり、その役目を果たした細胞は死に絶える。後に残るものを「記憶細胞」といって、2度目の感染の際にこれがたくさん増えて、効率よくウイルスを排除する。これが免疫を獲得したといわれる状態。

・欧米に比べて感染者数が少なく、死亡率も低いことを根拠に、日本は特別だと思う風潮が見受けられるが、とても危険。第二次大戦の初期の空気に似ている。

・2020年10月から2021年2月までは特に注意が必要。

・近い将来、効果の高い抗ウイルス薬が見つかると、重症化する数は減る。
・断続的な流行は2〜3年続くが、ワクチンが開発されたコントロールできるようになるだろう。
・しかし、集団免疫を獲得するまではかなりかかる。

・コロナウイルスは70〜80%のエタノールか0.05%の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸水ではない)で失活する。

・皮膚からは感染しない。手に触れてもよく手洗いすれば良い。

・新型コロナウイルスが人為的に作られた可能性は極めて低い。

・重症化には、遺伝子が関わっている可能性がある。

・気が緩んでいるから感染するわけではない。

・ペットにもうつる。不顕性感染なのでわかりにくいので注意。イヌよりネコの方が感染しやすい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年10月4日
読了日 : 2020年10月4日
本棚登録日 : 2020年10月4日

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