リケイ文芸同盟

著者 :
  • 幻冬舎 (2015年2月25日発売)
3.18
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本棚登録 : 218
感想 : 39
3

3時間位で読み終えた。本棚で思わず、リケイの単語に反応してしまった。。。あらすじも外から分からない帯無単行本だったけど、中身と想像が違った。

私は現に理系だけど、それこそ幼稚園の頃から本が好きでたまらない。そんな話かと思ったら、理系的手段を用いて、文芸作品のヒットを飛ばすために奮闘する出版社社員の話だった。

理系的には、共感できる個所がいくつも。私も主人公と同じで、「この時の○○の気持ちを答えよ」の問題ほど小学生の私を悩ませた質問はない。自分ならと思う答えを書いても、ぺけにされる。子供心ながら、異端児だと拒絶されたような心持で、結構傷つく。

主人公は、理想を追い求め、自分の感情を移入しない理論的方法が正しいと信じて、道を進むが、本の出版や純度100%の文系(熱意がすべてみたいな感じ)に囲まれた部門で働くことを通して、さまざまな事を学んでいく。

人の感情に基づく判断に反感を最初は覚える主人公だけど、過去の失恋を引きづり泣いたりと、実は主人公は最初から熱い心を持っている。

自分が出したい本を出すことが正しいことかどうかという話題中途で上がるけれど、私はいいと思った。出したい本っていうのは、おもしろいかったり、感動したりして、読者に本の楽しみを知って読んでほしいと思う意味で出版したい本だと思うので、全くのエゴではないと思うから。

それと、誰にでもよい顔をしようとする鴨宮さん。私は、これまで二度ほど自分が嫌われるのが嫌で、他部署によい顔をしたりして、きっぱりと断らない上司の下で働いたことがあるが、最も不愉快だったので、鴨宮さんの働き方は、確かに或る意味で他人に迷惑をかける働き方だと思った。

同じく理系だが、大きな器で物事をとらえられる親友の嵐田がいい味を出している。

三浦しをんの「舟を編む」を思い出した。読みだした最初より、色々と考えさせてくれる点は色々あるが、漂うよくある感じは消せないかな。後、個人的には最後の解決法が偶然的なハッピーエンドはあまり好きでないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年1月16日
読了日 : 2016年1月16日
本棚登録日 : 2016年1月15日

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