デビュー作からの4作品、全く作風が違う。
だが、ユーモアのある端正な文章、雰囲気はやはり好き。法月綸太郎の探偵としての変化も描かれている。
本作は『雪密室』、『誰彼』とは違ってパズラー要素はほとんどない。
日記の長さの違い、推理があまりにも当たりすぎているという不自然さ、「一昨々日」という書き間違い、といった要素から推理しているわけだが、やや強引さは見られる。
まぁそこに重点を置いているわけではないので問題はないが。
父親が実は頼子を愛していなかった、という事実にも驚いたし、
「実の娘と体の関係を持ち、終いには殺してしまった酷い父親」という姿を隠すために、柊に悪役を押しつけ、自分は「愛する娘の敵を取った父親」を演じる、という動機も面白い。
ラストに明かされる真実は予想の上を行くものであり、このドロドロとした読後感も自分は好み。
実は真の黒幕が操っていた、というのは他の作品でもよく見るが、あまり好きではない。
だが、この作品ではなぜか抵抗を感じなかった。
自分の好みのタイプの作品ではないが、思っていた以上に面白かった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年10月21日
- 読了日 : 2021年10月21日
- 本棚登録日 : 2021年10月21日
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