ちみどろ砂絵くらやみ砂絵 (光文社文庫 つ 4-41 光文社時代小説文庫 なめくじ長屋捕物さわぎ)

著者 :
  • 光文社 (2010年10月13日発売)
3.61
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本棚登録 : 165
感想 : 17
5

非人という非常に低い立場だが、センセーを中心に
協力し合って犯人を追いつめ、金をせしめる。
まず、キャラクターがとても魅力的。なめくじ長屋の面々がそれぞれの持ち味を活かし、息の合ったコンビネーションを見せるシーンは心が躍る。
そしてトリック、ロジックも超一級品。
魅力的な謎はもちろん、who,how,why,どれも存分に楽しめる傑作群になっている。

高評価の作品。
『よろいの渡し』
服をすり替え、描いた痣も消す。一石二鳥のトリック。

『ろくろっ首』
「首を切ることで、正気の男が狂人に殺されたように見せかける」という首切りのホワイが見事。

『春暁八幡鐘』
「風呂桶を盗んでくれ」という奇妙奇天烈な依頼。
長屋のメンバーの盗みの手際もさることながら、風呂桶を盗ませた理由に納得。

『いのしし屋敷』
蓋が割れた鏡と、畳についた矩形の跡。
これだけから論理的推理によって、犯人を特定するさまは圧巻。ロジック好きということもあり、かなり好きな作品。

『天狗起こし』
偽の解決を挟んだ後の、真の解決。
時代を活かした驚愕のホワイ。

『南蛮大魔術』
まず、序盤に登場するホームズさながらの推理がとても鮮やか。
そして最終的には月の(なわけないが)御殿に連れていかれ、何だったんだ...と思わされてからの、予想だにしない真相。トリッキーな構成も面白い、異色の作品。

『春狂言役者づくし』
とにかくミスディレククションが巧い。
完全に盲点。

『地口行燈』
犯人によって完成するダイイングメッセージ。
無筆の人間が書いた"文字"を消すことによって犯人も無筆であることが分かり、そして消された後には犯人の痣を示す赤い汚れが現れる。
トリックでは本書一。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月27日
読了日 : 2021年10月27日
本棚登録日 : 2021年10月27日

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