その日世界は終わる (KCデラックス)

  • 講談社 (2018年9月13日発売)
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本棚登録 : 68
感想 : 8

もし、世界が終わる日が来たとしたら、わたしはどうしているのだろう。
どこで、誰といて、何をし、何を思っているのだろう。

ドラマも社会現象となった大ヒット漫画、通称『逃げ恥』の海野つなみさんが原案を担当し、交流のある漫画家10人に‘あてがき’。【世界の終わり】をテーマにしたアンソロジー。
各漫画家さんのリクエストを元に海野さんがネームまでを描いたそうだ。

栗原まもるさんの『女神のよりしろ』は重いお話ながら、可愛らしい絵と希望の見えるラストが清々しい。
ひうらさとるさんの『Fly me to the moon』は「16ページほとんどベッドシーン」(海野さん)という異色作。
飛鳥あるとさんの『リップ・ヴァン・ウィンクル』はシブいハリウッド映画のよう。
『空降(カラフル)』の樋口橘さんのリクエストは「ときめき、痛み、かわいい、せつない、歪み、倒錯的なもの、ヴァンパイア、天才、、、」(海野さん)。
小原慎司さん(漫画)岩永尚子さん(監修)の『聖地巡礼』はインドネシアの少女が主人公。青春☆
上田倫子さんの『幸福な王妃』はアジアンチックな雰囲気。時代物の韓流ドラマのよう。
TOMOさんの『老嬢の一日』は日本が舞台。素朴な絵が『この世界の片隅に』を思い出した。
なかはら・ももたさんの『スピリチュアル』は南米・ボリビアをモデル国とした少年呪医と青年学者の出会いのお話。
おかざき真里さんの『村で一番の美女』は華やかで情熱的なおかざきさんの絵にピッタリの作品。おかざきさんは「感情の放出」が描きたいとリクエストしたそうだ。
柘植文さんの『さよなら人類』は、ほのぼの~としつつも俗っぽい。でもラストはニーチェの言葉で締める(笑)
この作品は最後に読んだ方が楽しめるかも。

おまけに海野つなみと10人の漫画家座談会付き。

ー「だけど ねえ わたしたち ちゃんと生きたわ」『村で一番の美女』

果たして自分は【その日】に「ちゃんと生きたわ」と、思えるだろうか。

読みごたえのあるアンソロジーだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2020年5月2日
読了日 : 2020年5月2日
本棚登録日 : 2020年5月2日

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コメント 2件

myjstyleさんのコメント
2020/05/03

レビューを読んで、無性に読みたくなりました。

5552さんのコメント
2020/05/03

myjstyleさん、こんにちは!
ぜひぜひ、お読みください。
漫画アンソロジーは初めてだったのですが、面白かったです。
面白かったといえばmyjstyleさんの『イコライザー』のレビューも。鋭いツッコミに思わず噴き出しました。

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