「それは予想もしなかったことだ。ピアノを練習するとは、「結果を出して世間に認められる」と現代人誰もが人生の唯一の価値と思い込んでいるものとは全然別のことなのであった。上も下もない。どんなに凡庸な人間でも、自分の心の中のどこかに隠れていた美しいものに、自分の手で火をつけることができる」p249,250
いやー、楽しかったです。
転んでもただでは起きぬ、ってこういうこと。
40年ぶりのピアノが連れて来たものは―――。
1年後にドビュッシーの『月の光』を弾けるようになることを目標に、イケメンピアニストに習い、近所のブックカフェでのピアノの練習を始める稲垣さん。
小学生のころピアノを習っていたとはいえ、立ちはだかるのは身体と脳の老い。なかなか思うようにいかない。
それでも、諦めず、いや、諦められず、難関ごとに工夫して何とかやってゆく。
その思考の柔軟さに感銘を受けた。
若い人は若い人の、老いゆく人は老いゆく人の、考え方のコツと生き方のコツがある。
人生はいくつになっても発見と驚きに満ち満ちている。
あー、ピアノ弾きたいなあ。←さっそく影響受けている人。
ギターでもウクレレでも、フラダンスでもいいな。
自分の身体で意思をもって、自分を造っていきたい。表現したい。
そんな思いになる、ワクワクするエッセイ。
付録に稲垣さんがチャレンジした曲一覧と、稲垣さんオススメのピアノ演奏のCDアルバムが紹介されている。
ピアニスト・ダニエルバレンボイムさんの生き様にはただただ敬服するのみ。
- 感想投稿日 : 2022年2月11日
- 読了日 : 2022年2月11日
- 本棚登録日 : 2022年2月11日
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