18の短編集から成る本作。
どの物語もユニークで不思議で完璧。
特に良かったのは、"いいラクダを得る"。
アラビア語を履修している5人組が創設した、流行と逆のことをする逆行サークルを巡るお話。
若いラクダという意味の名前のバクル先生。ラクダのこぶという意味のバクル先生の母親のヒンド。バクル先生の双子の娘は、アラワとリム。山のヤギと白いカモシカという意味。
偶蹄目がキーになっていてなんだかおもしろい。
"スミレ"も良かった。
技術が向上し、特定の施設の中では精神年齢が見た目年齢に反映されるようになった世界。(設定にすこしナオコーラさん味がある)
実年齢53歳・精神年齢が18歳の主人公は、実年齢14歳33歳の松村さんと恋愛をしている。この精神年齢はずっと一定ではなく突然一気に年を取ってしまうことがある。もちろんそれに伴い、見た目の年齢も年を取る。
年齢による隔たり。切ない。
ラストの"廊下"もいい。
主人公の前から突然いなくなった飛夫。結婚と出産を経た十年後、美術館の廊下であのころと変わらない飛夫の姿を見かける。
こちらもじんわり切なく愛しい物語。
こうしてみると後半の話ばかりなので、前半は単に忘れてしまっているだけかもしれない。
また読み返したい一冊です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年4月6日
- 読了日 : 2024年4月1日
- 本棚登録日 : 2024年4月1日
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