1992年初出。
山本さんが文芸に活動の場を広げ始めた当初の作品で、時代背景も含め懐かしさ満載。
ジェンダー観や、豊かさや幸福の象徴としての百貨店での贅沢品購買。
カードで大金を使うというバブルを私も若干経験したから。「ハウスマヌカン」は死語だけれど、先端の感じだったのはあの頃。
冒頭、読み手の心をぐっと惹きつけ、作品の世界観に引き込んでいく筆致は山本さんらしい。
「たられば」の人生。岐路に立ったとき、あの時、別の選択肢を選んでいたら…。誰しもが一度は想像や妄想を経験しているのではないかな。
表現が若干単調であり、直喩を用いての描写が続いたりと、まだ筆の青さを感じる30年前の山本さん作品。
私は晩年のできるだけそぎ落とした描写や絶妙な隠喩を用いての描写が好み。
読み手に説明しよう、展開しようという部分を感じてしまい、もう少し深みが欲しいところ。
ドラマ化にはぴったりかもと思い調べたところ、NHKで2003年稲盛いずみさん主演で放映されているとのこと。
冒頭の飛行機での部分で気になるところ一点。
大きな揺れの最中は機内サービス中止なのと、特に飲み物、それも熱い飲み物の提供はしないなあ。ちょっと気になっちゃいました。
まあフィクションの世界ではあるけれども揺れているのにビールやコーヒーも違和感かな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月20日
- 読了日 : 2022年2月20日
- 本棚登録日 : 2022年2月19日
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