降ります: さよならオンナの宿題

著者 :
  • 平凡社 (2001年12月1日発売)
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感想 : 4

「幻想を押しつけられて仰天したり憤死しそうになりながら、ほかのだれかにまた幻想を抱くわたしたちの矛盾について、わたしにこれといった策はない。」

「低カーストである自分のみじめさに拘泥していくなかで現実の人間関係が見えなくなっていく、自分のつくりあげたステレオタイプの自己像・的像にはまっていく、そういうひとを愚かものというのではないかしらん、主義主張立場にかかわらず。〜しかし闘わなきゃいけない状況はあるよね。状況への怒りはある。そしてそれに拘泥せず、目の前のヒトヲ見ていくことって、当然できるとわたしはおもうの」

「かれらが「そのまんま」で生きられるそののびやかさときたら、あ然としてしまう。かれらの世界の「外」にいる、あるいはかれらに描かれて内心「そんなではないのにわたしは」とおもいながら「世界」にようやく存在しているひとたちは、羨望のまなざしでかれらの「そのまんま」ぶりを見つめる。ああ白人はなんて堂々とアメリカを歩くのだろう。男はなんてつくらない自分のままで生きていることだろう。かれらはそして、善意にあふれていたりさえするのだ。だけどこっちは見逃せない、「世界」がかれらのものであることを。〜かれらは自分が見世物だなんて考えてもいない。かれらは見る者、解釈を与えるほう、評価を下す側。かれらでないわれわれは、それを痛烈に感じる。」

「がまんできない!といいつづける。良識ある市民としてはどうも正しくないとおもわれることを口走りながら、過激に、戦略的に、なによりしぶとく。ばかのひとつ覚えで「がまんできない」といいつづけることが運動には必要なのだね。あきらめがよくちゃだめなのだ。」

自分もこれだけ的確にものごとを言葉にできればなー と思う本
言葉の温度もちょうど良い

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2009年6月10日
本棚登録日 : 2009年6月10日

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